「継続的注意力断片化」とは?

2014/12/02

今日、私たちは、かつてないほどお互いに繋がりあった世界に住んでいます。しかし、この繋がりも過剰になると、ビジネスにおける人間関係やネットワーキングにも影響を及ぼすような、明らかな弊害が生じる恐れがあります。BNIのように、毎週対面でミーティングを行う組織にとっては、特に弊害となります。過剰な繋がりは、「継続的注意力断片化」と呼べる状態に陥る原因となります。「継続的注意力断片化」とは、自分が今行っていることに対して、断片的にしか注意を払えない状態を指します。それも、ずっとその状態が続くのです!

対面でのネットワーキング VS ソーシャルメディア(SNS)

「継続的注意力断片化」は、信頼関係の構築を妨げます。個人的な信頼関係だけでなく、仕事上の信頼関係にも影響します。何らかの集まりに出席した際、ミーティング中に携帯端末でSNSを利用している人をよく目にするようになりました(その集まりに関する写真やツイートをアップするだけでなく、常にSNS上の人と繋がっていようとするのです)。BNIのチャプターミーティングでも、商工会議所の昼食会でも、ディナーイベントなどの催し物でも、ネットワーキングイベントでは、いつでもこの光景を目にするようになりました。
「繋がりたい、常に繋がっていたい」という欲求は、ビジネスネットワーキングやソーシャルネットワーキングの持つ力の一つではあります。しかし、イベントなどで人と出会い、対面で繋がろうとしているきには、

この欲求は逆効果になってしまうかもしれません。

なぜなら、SNS上で「オンライン」になることに夢中になるあまり、目の前に立っている人と向き合おうとしなくなってしまうからです。
ネットワーキングイベントなどで、人と会話をしている最中にSNSの通知が来た経験はないでしょうか。目の前で起きていることから注意をそらし、携帯電話の上で起きていることに注意を向けたとき、私たちは会話をしている相手から切断されてしまいます。そうなれば、会話の内容がうろ覚えになったり、さらには全く記憶に残らなかったりするかもしれません。同時に相手に対して、「あなたは私にとって携帯電話に入ってくるさまざまな通知以下の重要性しかありません」というメッセージを、わずかでも与えてしまうかもしれません。
このように、「継続的注意力断片化」は、あなたに恩恵をもたらしてくれるはずの、ビジネスにおける信頼関係の構築を妨げます。私たちは、「常時繋がっていること」の代償として、今目の前にある信頼関係を犠牲にしているのではないでしょうか。私たちの脳は、本当はマルチタスクに対応していません。同時に複数のプログラムを実行できるコンピューターのようには機能しません。私たちの脳は、複数のタスクを切り替えながら実行しなければなりません。中には、まるでマルチタスクが可能かのように、非常に素早くタスクを切り替えることができる人もいますが、実際にはマルチタスクができるわけではありません。また、タスクの切り替えがあまり上手でない人もいて、複数のタスクを同時に実行しようとすると、それぞれのタスクに対する注意を維持するのが極めて困難になります。

仕事中も注意散漫

私たちの多くはコンピューターやノートパソコン、タブレットなどの通知設定をオンにして仕事をしています。メール、Facebook、Twitter、Instagram、Google+、LinkedIn、Pinterest、Skype、YouTube、Tumblr、Snapchatなどから通知が来るたび、ピーチクパーチク音がなり、スクリーンには「見て!」、「リツイートされました!」、「友達リクエストが来ています!」といった通知が飛び交います。これでは、普段は問題なく物事に注意を払える人 でも、これだけ通知が来れば注意散漫になってしまいます。そして、前かがみになって両手で携帯端末を握りしめる姿は、まるでヨガのポーズ でもしているかのようです!
フォローアップしたか忘れてしまうことも珍しくありません。フォローアップのメールを同じ相手に2回送ってしまったり、送る約束をした資料を別の相手に送ってしまったり、さらには全く無関係の人にメールを送ってしまったりするかもしれません(誰でも経験ありますよね?)。「継続的注意力断片化」は、あなたの注意力や用心深さ、集中力を阻害します。普段の活動については言うまでもありませんが、このようなイベントの後のフォローアップ活動にも支障をきたします。
正直に考えてみてください。朝起きて、あなたが最初に挨拶する相手は誰でしょうか?奥さんや旦那さんでしょうか、お子さんでしょうか、ペットでしょうか、あるいはオンライン上のコミュニティーでしょうか?まだベッドから起き上がる前に、携帯電話に手を伸ばしたりしていないでしょうか?私も以前はそうでした。そこで、朝起きて、エクササイズをして、シャワーを浴びて、朝食を食べ終わるまで、携帯電話の電源を入れない習慣を付けました。SNSは素晴らしいと思います。日ごろから、知り合いと連絡を取り合ったり、信頼関係を構築したりするために活用しています。とはいえ、BNIのチャプターミーティングをはじめ、対面での関わりに集中すべき時があることを理解して、そういった場面ではSNSの通知をしない設定にするといったことも必要です。ますますデジタル化が進んでいる今日、このことは一層重要になっています。