犬のチームが教えてくれたリーダーシップ

2014/03/13

去年のこと、私は妻と一緒に、スウェーデンのアイスホテルを訪れました。その際に、犬ぞり周遊を体験しました。これから犬ぞりに乗って凍結した川の上を滑り出すために、そりに乗り込む順番待ちをしていたとき、私たちはあることに気づきました。犬ぞりのチームには、それぞれリーダーとなる犬たちがいるのですが、彼らの態度がとても興味深いものだったのです。

群れの中のほとんどの犬は、飛び跳ねたり、綱を引っ張ったり、ワンワン、キャンキャンほえたりしていて、全体的に大騒ぎの様子です。ところが、妻のベスと私は次のことに気づきました。それは、リーダー役の2匹の犬だけは、静かに座り、マッシャー(犬ぞりの操縦者)をじっと見つめていたのです。時々低いうなり声を出すことはありましたが、総じてリーダーの犬たちは、常に警戒を怠らず、注意深く、静かに移動開始の合図を待っていました。

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【騒がしくほえる犬たち】 

私は思わず犬たちの行動に見入ってしまい、何分間もその場に座り続けました。そのとき、私は、リーダーシップ一般についても同じようなことが言えるのではないかと考えたのです。ほぼすべての犬が周囲で、ほえたり、綱を引っ張ったりしている中で、リーダーの犬たちだけは、ほとんど音を立てず、その様子をじっと見守っていました。

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【注意深く移動開始の合図を待つリーダーの犬たち】 


各チームのリーダーとなる2匹の犬たちは、ただ一つのこと、つまり、残りの犬たちを率いて出発するための合図だけに注意を集中している様子でした。

優れたリーダーは、しばしば同じような行動を取ります。時々ビジネスの界でも、何かに興奮した人が、すぐに特定の方向に物事を進めようとしたり、何か行動を起こそうとしたりして、騒がしく自分の意見を主張し、周りの人を無理に引っ張ろうとすることがあります。時には強引な方法をとる人もいます。

一方、優れたリーダーは、常に注意深く、決して警戒を怠らず、周囲の混とんとした状況に対して過剰反応をすることもありません。彼らは適切なタイミングと前進するための合図を待つのです。

彼らは、チームを正しい方向へと導き、最善の結果を出す用意ができています。

優れたリーダーは、プロセスを尊重し、現場に信頼性の高いリーダーシップをもたらします。彼らは前進すべきタイミングと、静止すべきタイミングとを心得ています。彼らはその違いを知っているのです。なぜなら、彼ら自身、または、彼らが信頼する誰かが、何度も同じ道を通ってきた経験があるからです。チームのメンバーは興奮したり、躍起になったりするかもしれません。さらには、いろいろなことを要求してくるかもしれません。それでも、強いリーダーは動じることなく、冷静さを保っているのです。

この犬ぞり周遊でもう一つ気づいたことがあります。リーダーの犬たちが立ち上がってマッシャーの出発合図に応じようとしたとき、残りの犬たちは静まり返り、その場に座ったのです。これから仕事に取り掛かるということを理解しているのでしょう。彼らは、全員で同じ方向へとそりを進める用意ができているのです。

リーダーが冷静さを保ち、自らの経験や他者の経験から得られる「合図」を注視し、その後についてチームが一つの方向を目指すとき、チームの歩む道は正しく、健全なものになるはずです。

この例えは、BNIにぴったりだと思いました。もちろん、どんなリーダーも、たまには「ほえる」ことがあります。とはいえ、チームを引き付けるようなリーダーとは、強く、冷静で、自信に満ちたリーダーです。

リーダーシップチーム交代の時期が来たら、次のようなリーダーを探してみてください。それは、プロセスを理解しているリーダー(あるいはそのためのトレーニングを受ける意思のあるリーダー)です。チームを成功へと導く、強く、冷静で、自信に満ちたリーダーを探してください。なぜなら、リーダーシップチームの質が、時にグループの質を決定するからです。