推薦状を最大限に活用する

2011/09/29

文字で書かれた推薦の言葉は、様々な仕方で私たちの行動に影響を与えています。ときには自分でも気づかないうちに影響を受けていることもあります。
たとえば、友達と映画を見に行くことにした際、見たい映画が一致しなかったとしましょう。そういう場合、新聞を開いて上映中の映画のレビューを見たという経験はないでしょうか。あるいは、映画の前に夕食を済ませようと思ったところ、周りにレストランがたくさんありすぎて、どこへ行ったらよいか迷うことがあります。そういう場合には、地元の情報誌を開いて、おすすめレストランのレビューに目を通すこともあるでしょう。
こうした「プロの」推薦には影響力がありますが、それ以上に強力なのが、信頼できる個人的な人脈からの推薦です。時間に余裕があれば、友人に電話やメールをして、おすすめの映画やレストランを紹介してもらうことができます。あなたの好みをよく理解している人からのアドバイスなわけですから、多くの場合、安心してアドバイスに従うのではないでしょうか。
ビジネスにおいても同じことです。あなたの会社の製品やサービスを利用しようと思う人は、その前に他の利用者の感想を聞いてみたいと思うものです。たとえば、あなたがフローリングの修繕を行う業者だとしましょう。多くの人は、いきなりあなたに作業を依頼するというより、まず過去の利用者の声を知りたいはずです。
こんな経験もあるかもしれません。求人情報に応募する際、信用照会先を提示した経験はありませんか?通常この種の信用照会では、照会先はあなたの人物や仕事ぶりについて、書面ないし口頭で回答します。これが採用において決定的な役割を果たすことも少なくありません。他人の言葉には重みがあるのです。

-推薦状でビジネスが拡大する仕組み-

推薦の言葉は信頼をもたらしてくれます。なぜなら、あなたの製品やサービスを実際に利用した人の言葉だからです。一般に、消費者は宣伝文句よりも利用者の体験談を信頼する傾向にあります。一般の利用者の意見には偏りがなく、無理に推薦の言葉を提供することで何か得をするわけではないと考えるからです。これに対して事業者は自分の損得を考慮するはずですから、事業者自身の言葉はそれほど信用できないと思われているのです。
こういう消費者の疑念を理解したうえで、中には顧客に推薦状を提供してもらっている事業者もいます。顧客が法人の場合も同様です。どちらかといえば、法人の顧客の方が、消費者よりも厳しい要求をします。なぜなら、彼ら自身の業務や評判がかかっているからです。したがって、企業のレターヘッドが付いた推薦状というのは、非常に効果的な推薦状になるわけです。そのレターヘッドが信頼されている企業のものであればなおさらです。

-推薦状を公開する-

推薦状を活用して信頼を高めれば、競合他社に対して有利な立場に立つこともできます。そのために、推薦状はさまざまな仕方で活用することができます。たとえば、会社のウェブページに掲載するのも一つの方法です。こうしたウェブサイトの中には、ウェブサイトの色々な場所に推薦状を分散させて掲載し、どのページを見ても最低1つの推薦状が表示されるようにしているものもあります。あるいは、推薦状専用のページを設けて、同時に複数の推薦状を見られるようにしているものもあります。いずれにせよ、推薦状を掲載する際には、レターヘッドごと載せることが重要です。そうすることで、推薦状の、そしてあなた自身の信頼を向上させることになります。
飛び入りの顧客が多いビジネスなら、顧客が閲覧できるように、1つずつクリアポケットに入れた推薦状を、バインダーにとじて用意しておきましょう。「お客様の声」や「利用者の体験談」などのラベルを張るとよいでしょう。お客さんが待ち時間に読めるように、バインダーは受付に近いテーブルに置いておきます。これは見込み客に対して効果的であるだけでなく、既存の顧客との関係強化にもつながります。
そのほか、ビジネスを提案する際に推薦状を添えるのも、競合他社に対して差をつける方法の一つです。その際に多種多様な推薦状が手元にあれば、なお効果が上がります。その中から今回の案件と最も関連性の高い推薦状を選ぶことができるからです。

-推薦状を書いてもらう-

日頃から、顧客に依頼したり、人脈を活用したりして、推薦状を書いてもらうようにしましょう。とはいえ、どのタイミングで頼んだらよいのでしょうか?これは一概にはいえません。一ついえることは、タイミングが早過ぎるのはよくないということです。一方、適切なタイミングはというと、取引やプロジェクトの開始前かもしれませんし、その最中かもしれません。あるいは完了した時点かもしれません。つまり、顧客によって違いますし、あなたが提供する商品やサービスによっても変わってきます。また、あなた自身のニーズによっても違います。
たとえば、プロジェクトが完了する1か月前に顧客に電話をして、満足度を尋ねたとしましょう。顧客は満足していて、あなたが提供した商品やサービスのおかげで、自分の生活やビジネスが向上したと答えたとしましょう。この瞬間、あなたの「推薦状探知機」が反応するわけです。これこそ、推薦状を依頼する適切なタイミングです。「今頂いたご感想を、ぜひ弊社を紹介する際に使わせていただけないでしょうか。もしよろしければ、弊社に推薦状を書いていただけませんか?御社のレターヘッドの入った紙でお願いしたいのですが…」もし答えがイエスなら、次のステップは、顧客があなたのニーズにあった推薦状を書いてくれるようアドバイスを行うことです。

-内容についてアドバイスする-

推薦状に含める内容:
・ なぜあなたとビジネスをすることにしたのか
・ あなたの提供した商品やサービスから、どのような恩恵を受けたのか
・ あなたのビジネスについて他の人に伝えるとしたら、何を伝えたいか
・ あなたが提供する商品やサービスを利用するにあたって、多くの人が知りたいこと
これらの内容を推薦状に取り入れてもらってください。アドバイスすることを、ためらってはいけません。アドバイスをすることで、相手はあなたのニーズに合った推薦状を書きやすくなりますし、結果的にあなたにとって価値のある推薦状ができるはずです。

-推薦状を整理する-

最後に、最低でも2~3年に1回は推薦状を整理する必要があります。古すぎて有効性や信頼性に欠けるものがないか調べます。特に、以下に該当するものについては、破棄するか、新たに書いてもらう方がよいでしょう。
• 今は存在しない企業からのもの
• 退職済みの人からのもの
• 今は提供していない商品やサービスに関するもの
• 黄ばんでいて見るからに古そうなもの
• 古い統計が使われているもの
推薦状がビジネスにもたらす効果についてご理解いただけたら、今週ぜひ3人の顧客に、それぞれの会社のレターヘッド入りの推薦状を書いてもらってください。あなたの商品やサービスがどう顧客の満足や成功につながったのかを考え、そのうえで、推薦状を書いてくれる相手にとって分かりやすいように、取り入れてほしい内容を明確に伝えましょう。推薦状は手書きではなく、顧客の会社のレターヘッドが付いた紙に印刷して作成してもらいます。日付と署名を入れてもらってください。
最後になりますが、互恵の法則を忘れないでください。推薦状を書いてほしい相手がいたら、まず自分からその人に推薦状を書きましょう。