引き算による足し算 (減らすことで増やすその仕組みとは?)

2011/09/06

マイズナー博士:

『最近、地元チャプターのメンバーと話をする機会があって、チャプターの調子はどうか聞いてみたら、彼女は元気よく「とっても順調です!」と答えてくれたよ。それから彼女は続けてこう言ったんだ。「メンバーも35人になったんです!でも、毎週25人しか出席しないんですよね」

これは危険信号だよ!毎週25%以上のメンバーが欠席しているチャプターは、「とても順調」とは言えないからね。異論はあるかもしれないけど、チャプターの「枝切り」が必要な時もあるとは思わないかい?』

エリザベス:

『枝切りはなんだか怖い感じがするけれど、でもバラの木にとっては必要なことなのよね。枝切りをすると、翌年には4か所も5か所も、何もなかったはずの茎から新しい成長が始まるの。一見直感に反するようだけど、でも事実。バラの木は、枝切りをすれば、それだけ次の春にはもっと大きく健康に育つものなの。

枝切りをして、役目を終えた枝を取り除いてあげることは、同時に木の形を整えるチャンスでもあるの。太陽の光が葉っぱに届くようにするには、邪魔になっている枝を取り除く必要があるし、茎が交差しはじめたら手を加える必要がある。そうすると、翌年の成長に大きな違いがでてくるのよ。
バラの手入れをするときは、枯れはじめた花を切らなければいけないときもあるの。よく育って、大きなつぼみを付けていた枝でも、花が枯れ始めたらそうするしかないの。花は枯れているのに、木は栄養を送り続けてしまうから。そうすると、新しいつぼみに栄養が行かなくなってしまうでしょ?木全体で見ると、花の健康を保つには、役割を終えた花を取り除く必要があるの。つまり、「引き算による足し算」ってこと。

南カリフォルニアのチャプターでもこんなことがあったわね。私たちの友達でチャプターのプレジデントを引き継ぐことになった人がいたでしょ?書類の上では申し分ないチャプターだったんだけど、ミーティングに出てみると、実際には問題が山積み。ケンカする人や、質の悪いリファーラルを提供する人がいて、苦情もたくさん出てた。幸いにも、プレジデントとメンバーシップ委員会が「引き算による足し算」の効果を理解していて、メンバーリストに「枝切り」を施した結果、強く、健康で、大きなチャプターになったわね。』

マイズナー博士:

『Tom Petersといえばビジネス界のカリスマ的存在だけど、その彼が”Design”というタイトルでマネージメントに関する本を書いているんだ。そこに、Charles Wangという事業者の言葉が載っていたよ。「もしプロジェクトが予定より遅れていたらどうするか。人員を倍増する?いやいや、そうじゃない。まったくその逆だ。最も非生産的な25%の人員を特定して、彼らには辞めてもらう。これがWangの法則:30人でぐずぐずやっている仕事は、そのうちの優秀な23人に任せるべし」

確かに、Wangの法則は乱暴に聞こえるかもしれないね。でも、これは大事な考え方だと思わないかい?BNIチャプターを強く健康的な状態にするのに、なぜ「引き算による足し算」が有効なのか、Wangの法則はそれを説明している。チャプターの成功にあまり貢献してこなかったメンバーは、チャプターを立ち去ることによって、チャプターにポジティブな影響をあたえることができる。
とはいっても、大抵は、チャプターでこれを実行に移すのは簡単ではないだろうね。なぜだと思う?

BNIの強みの一つは、メンバー同士が信頼関係で繋がった仲間になること。でも、これは同時に弱みでもあるんだ。仲間に対して責任感を要求したり、仲間のカテゴリーを開放したりするのは、難しいことだと思う。それでも、チャプターにとっての、より大きな利点を考慮しなければいけない時もある。

4人も5人もカテゴリー開放に値するメンバーがいて、(たとえば、欠席回数の上限をオーバーしていて、さらに複数の苦情が寄せられているような状況で)メンバーシップ委員会がそのことを承知の上で、なお彼らを除名することをためらっているとしたらどうなると思う?
委員たちは、その4、5人がチャプターの足かせになっている現実を直視する必要がある。それなら、5人少なくても足かせのないチャプターの方がずっと良い。』

エリザベス:

『さっきの、書類の上では申し分ないチャプターを引き継いだプレジデントだけど、彼はメンバーをコアメンバーの10人だけにして、そこからチャプターを再建したでしょ?今では30人近くのメンバーを持つ、強力で、熱心で、協力的なチャプターになってる。枝切りをするのは辛いかもしれないけど、そのおかげでチャプターは成長し、その先も成長が見込めるようになった。そうなるには6か月かかったけど、努力が報われたってことね。
適切なメンバーで構成された新しいチャプターは、この先も成功を続けるはずよ。なぜなら、彼らはしっかりと足元を見据えて、必要なときには枝切りを行う覚悟ができているから。
私たちはBNIでの22年間、こういう現象をこの目で何度も目にしてきた。枝切りは怖い感じがする、それは否定しない。でも、BNIが持つアカウンタビリティーのシステムを維持することで、チャプターは必ず成長する。それを考えれば、枝切りをしたことは決して無駄にはならないはずよ。ディレクターは、枝切りを効果的に実行できるようにトレーニングを受けているわけだし。それと、枝切りをすることで、他のチャプターに対して指針を示すことにもなるわね。もし、同じような問題を抱えているチャプターがあったら、まずはディレクターに相談することをお勧めするわ。彼らはポジティブな方法で対応してくれるはずだから。』

以下は、1995年にサクセスネットの「印刷版」に掲載された記事です。上の対談に共感してくれた読者で正確なデータが欲しいという方にはお勧めの記事です。この記事では、欠席を減らすことで、どれくらいリファーラルが増えるのかを示しています。

低欠席率=高リファーラル数

by Ivan Misner, Ph.D.

次の6か月から9か月のうちに、リファーラル数を倍にしたいと思いますか?もしそうなら、続きを読んでください。サクセスネット9月/10月号(1994年)の中でも、私は以下と同様の表を使いながら、いかにしてチャプターが「基本に立ち返り」、そして大きな成果を上げたのかを説明しました。

             メンバーごとの欠席回数     メンバー数      リファーラル数
第1四半期 (before)      2.1             14           188
第2四半期 (after)       1.0 (-52%)       18 (+29%)     269 (+43%)
第3四半期 (after)       0.6 (-71%)       21 (+50%)     305 (+62%)

出席に関する規定をはじめ、チャプターがBNIの基本を順守するようになってから、メンバー数、そして特にリファーラル数が大幅に増加したことが、上の表から分かります。
6か月間で見ると、メンバーごとの欠席回数は71%減少し、リファーラル数は62%も増加したのです!サクセスネットの記事を読んだカリフォルニアのRiversideチャプターが私に手紙を送ってくれました。彼らの取り組みとその成果は次のとおりです。

             メンバーごとの欠席回数     メンバー数      リファーラル数
第1四半期 (before)     1.9            11             122
第2四半期 (after)      0.9 (-53%)      12 (+9%)       133 (+9%)
第3四半期 (after)      0.8 (-58%)      17 (+55%)      208 (+71%)
第4四半期 (after)      0.9 (-53%)      21 (+90%)      322 (+164%)

これら2つの表からはっきりと分かるように、欠席回数とリファーラル数には、直接的かつ明確な関係があります。チャプターで欠席回数が減少すると、メンバー数は増加し、同時にメンバーが受け取るリファーラル数も大幅に増加します。このチャプターでは、第4四半期のデータも送ってくれました。9か月間の努力の結果、メンバーごとの欠席回数は53%低下し(クリスマスと年末年始も含めてです!)そして、リファーラル数は164%という記録的な上昇をみせました。
このように、欠席が多いことは、リファーラルが少ないことを意味します。そして欠席が少ないことは、リファーラルが多いことを意味します。ここから得られる教訓は、出席に関して甘いチャプターは、お財布にも影響が出るということです。

欠席を減らすことは、チャプターにとって最善の策です。そして同時に、基本に立ち返り、優良なチャプターを目指す努力をすれば、BNIに参加することで得られる利益もより大きくなるはずです。各自のチャプターで、基本に立ち返る呼びかけをしましょう。具体的な行動については、まずディレクターやBNIオフィスに相談してください。彼らは いつでも、皆さんの力になりたいと思っています。
ただし、忘れてはいけないのは、最も良い方法は、必ずしも簡単な方法だとは限らないということです。とはいえ、少しの努力で、あなたのチャプターも前述の2つのチャプターのような成果を収めることができるはずです。チャプターが基本に立ち返る手助けをして、今日からでもチャプターの軌道修正を開始してください。